ORIYAMAKE

循環狩猟・地方観光について考えをまとめるブログ/瞑想登山家/秋田県北秋田市・森吉山麓モロビの里に生息しています。

スーパーのスーパーな豚肉は止められない

お正月に久しぶりに熊鍋をつくってみたりしたのです。

熊は昨年の8月5日に有害駆除で捕殺されたオスの熊。

冷凍庫に保存していたものを少しずつ食べています。 でも狩猟をやっているウチでも野生肉はほぼほぼ食べません。食卓にあがる肉はスーパーで購入した豚肉が9割を占めます。そういえば以前、NHKのスイッチインタビューでサバイバル登山でお馴染みの服部文祥さんの奥さんが野生肉について話していたときがありました。

music-book.jp

(井浦さん)ご家族の皆さん 聞いてみますか。
小雪さ~ん。どうですか?争いは絶えないですか。
 
(奥さん)肉?
(井浦さん)野生肉だけで…。
 
(奥さん)すごく食べやすくて飽きが来なくて
求めてしまうんですよね。野生肉をずっと食べてると。
 
(服部さん)それ、簡単だからでしょ?
(奥さん)そう。

 印象に残っているのですが、サバイバル登山家の家でさえ、お店で肉を買ってしまうということに少し笑ってしまいました。服部文祥さんは簡単だからでしょ?と端的に聞いていますが、その「簡単」という言葉には様々な意味が含まれていると思います。まず、獲物自体をとるのも難しいですし、捌くのも大変。それから大量の肉を保存しておくのも辛いし、野生の臭みを取り除きながら料理をするのも気をつかいます。それから食べているときに鉄砲の弾をかじったりすると、歯も痛いし、その時の動物の気持ちも考えてしまいます。とにかくスーパーで買った肉と違って、食べるという行為以前に、その肉の周り360度に色々なものが付随しているのです。それをスーパーで購入すると購入代金と引き換えに全てを他人に押し付け、自分への負担はほとんどゼロで食肉することができると思います。野生肉のみで生きている人もいますが、そのために必要なものは時間。とにかく野生肉を食べ続けるためには時間が必要なんです。服部文祥さんも別のインタビュー記事で言及しています。

www.hotpepper.jp

服部:猟期に関して言えばやろうと思えば、肉は100%賄えるんじゃないですか。でもまあ猟期が終わったら、冷凍しててもなくなっちゃうし、弁当に肉入れるとか言って鶏肉を買ったり豚肉を買ったりしてる。肉はだいたい年間で6割ぐらいかな。田んぼや畑をやってるわけではないので、米や野菜はほぼ買ってます。トータルで考えると自給できているのは1割ぐらい。もちろん割合は増やしたいですけど時間が足らない。

 サバイバルの第一人者でも自給は1割。私たちがスーパーで安く、安定して美味しい肉を購入できるのは、これまでの人類史からすれば奇跡のようなものではないでしょうか。我が家に泊まりに来るお客さんに野生肉をお出しすると、とても喜んでくれますが、それは一時の非日常、毎日食べるものではないという前提で喜んでいるのかなとも思います。近年はジビエブームでイノシシやシカ肉が多く出回るようになってきましたが、それでも一般の家庭が日常的に食べるまでには至っていませんし、そうする必要もないのかなと考えます。命を奪うということは、とてもとても労力がいるものです。

スーパーの陳列棚では、生臭い内臓や、うつろな目玉は全て除去され、清潔でピカピカのお肉が見事に並んでいます。Twitterの世界では盛んに活動している動物愛護狂信者の方々が肉を買わないようにと叫んでいる姿もありません。この食肉を購入するという当たり前の行為ですが、野生肉を1から最後まで自分で扱った経験があると、それも違う角度から見ることができるので皆さんにもオススメします。

食肉売り場は死体売り場でもあり、ご馳走売り場でもある。