ORIYAMAKE

瞑想登山家/秋田県北秋田市・森吉山麓モロビの里に生息しています

世界一訪れたい秋田県北秋田市のつくりかた

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【世界一訪れたい日本のつくりかた】を読んで、秋田県北秋田市にも活用できるな、と思ったことのまとめです。前著の新・観光立国論も読んでから、こちらへ進むことをオススメします。どちらも数字を根拠にして具体的に書かれているので、とても理解しやすく、自分だったらどうするかということを考えやすいと思いますよ。

ここでは、自分が付箋を貼ったところを引用しながら、どう秋田の観光に活かしていくかを考えたいと思います。

 

P113 人口が減って、リピーターも少ないという観光地の問題を解決するには、2つの方法があります。ひとつは「一生に一度行ければいい」という場所から「何度も行きたい」という場所へ変えて「リピーター」にしていくことです。(中略)もうひとつは、1人あたりの単価を上げることです。

人口が減って、リピーターも少ないとは、まさに北秋田市のこと。何度も行きたい場所にすること、1人あたりの単価を上げる。これは皆さん分かっていることだと思います。でも、なかなか難しい。うちに宿泊された香港の方は、樹氷を見に行きましたが、紅葉のパンフレットも見て、今度は秋に来たいと行ってました。ぜひ来てね!と言ったものの、リピーター用のクーポン券などはなく、具体的なブツが欲しいところです。

 

続いて、国立公園と書かれているものの、県立公園に置き換えて考えてみると…

P154、155 【国立公園の、時代に合わない設備】(省略)「国立公園」というものは、そのエリアに住む人たちが押しかけてキャンプをしたり、散策したりするためにつくられたものだということが浮かび上がります。当時は人口が右肩上がりで増えていた時代です。このような「近隣住民のためのレクリエーション場」の整備が急務でした。戦争が終わったばかりで、それほど社会に娯楽もありませんでしたので、「自然」は観光資源というよりも、国民のレクリエーションの場だったのです。

今現在、北秋田市では森吉山県立自然公園を国立公園またはそれに準ずる国定公園に昇格させようという運動が一部であります。しかしながら、本著で指摘されている通り、名前が変わったところで「昭和の観光」から脱却できなければ、同じことだと思います。現在の状況は最も中途半端な状態ではないでしょうか。「地元民」のためにもなって「外国人観光客」にも喜ばれるもの。いつでもだれでも森吉山というキャッチフレーズにもあらわれていますが、八方美人では今後闘っていけるか心配な部分もあります。地元の人がレクリエーションとして求めている姿と、外国人観光客が日本独特な観光資源として求めているものには大きな隔たりがあります。その溝を埋めていくことも必要ですが、観光を産業化していくためには費用対効果が大きな方に比重を置いていければと個人的には思っています。

 

それから、滞在型観光の推進について…

P162 「自然」のなかで行う「体験型観光」を整備することは、長期滞在型の観光客やリピーターの獲得につながるのです。「体験型観光」の一番のポイントは、より多くのお金を落としてもらえることです。(中略)アクティビティを充実させることで1時間の滞在時間を2時間に増やすことができれば、2倍の対価をとれるということです。これは、食事を考えるとわかりやすいかもしれません。15分で食べるファストフードよりは、3時間以上かかる懐石料理のほうが高価格です。もちろん提供される食事そのものの違いもありますが、それだけでは説明ができません。「15分で食べる懐石料理」に高いお金を払う人は少ないでしょう。

これは今すぐにでも改善すべきところだと思います。せっかく高い旅費をかけて、長い時間をかけて樹氷を見に来ても、30分の周遊コースだけでは物足りなく感じてしまう外国人観光客が少なくありません。森吉山阿仁スキー場だけではなく、他の観光施設も軒並み15分から長くても30分で見終わってしまうところばかりではないでしょうか。うちのゲストハウスでは午前9時から午後3時まで6時間かかる山歩き体験を用意しています。冬場は短縮コースになりますが、通常のコースで6時間、周辺の歴史や動植物の紹介の他、自らナイフで杖や箸などの道具をつくったり、火をおこして昼食を用意したりといった体験を希望者向けに実施しています。料金は決して安くはないのですが、体験された方からは、また別の季節に来たいという声をいただいています。内容を充実させるためには『拘束時間を長くするためにはどうしたら良いか』という方面から考えてみてもよいのかもしれません。

 

次に付箋を貼っていたところは、眉唾物ではありますが北秋田市にとって、大きな転換点となるかもしれない内容なのでご紹介させてください。

P172 世界には、お金を払ってでも狩猟をしたいという人が山ほどいるのです。そこで、規制緩和も必要かもしれませんが、もし仮に日本でも地域を制限して、海外のハンターに有料で狩猟を楽しんでもらうような制度を整備したらどうでしょう。国や自治体としては「獣害」を防ぐことができるうえに、国際観光収入を得ることもできます。また、遠い異国の地で日帰りのハンティングを楽しもうなどという人はいませんので、長期滞在者が多くなります。ハンティングエリアの付近に高級ホテルやレストランなどを整備すれば、地域経済も潤います。観光客にお金を払ってもらいつつ、地域の課題を解決できるのです。

私も狩猟を始めてから3年が経過し、4年目に入ったところですが、これには賛成半分、反対半分といったところです。もちろん規制緩和され、外国人ハンターが絶滅危惧種となっている日本人猟師の代わりに有害駆除をしてくれれば助かる部分もあると思います。しかし、日本の地形は海外とは大きく異なり、険しいところが多く、事故やケガのリスクはとてもとても大きいと言わざるを得ません。やり方次第なところもあると思いますので、今後議論していければと思っているところでもあります。

 

あと、このまま気になったところを羅列していくと、どんどん長くなってしまいますし、本を買わなくても済むようになってしまいますので、最後にひとつだけ…

P256 ショッピングの案内から明日行くレストラン、アクティビティ、エンターテインメントなどの提案やコーディネートまで含めた「ホテル館外のサービス」がどれだけ充実しているかが重要なポイントになります。「あらゆるニーズに対応する」ことが基準なのです。

この本には「ハード一流、サービス二流の日本のホテル」、「スタッフは非常に親切だけれども、さまざまなことを頼んでも、ホテル館内の直接的なサービス以外はやってくれない」という内容も書かれています。所謂5つ星ホテルでも同じような状況というのですから、これは日本人特有の問題と言えるかもしれません。マニュアル通りの対応は、どうしても相手に伝わってしまいます。北秋田市の観光施設でも心当たりのある方は多いのではないでしょうか。よく言われることが「何か見るものありますか?」ということを観光案内所で聞くと「ここら辺には何もないから別の場所に行った方がいいよ」と言われたというもの。別の場所に行った方がいいと言った方は善意からかもしれませんが、言われた方はずっとその言葉が心に残ってしまいます。どんな些細な事でもよいから、相手との会話から興味を引き出し、北秋田市にあるものとマッチングさせる心意気が全ての観光従事者に足りていないと感じています。観光従事者は断ったり、相手と反対のことを言う資格はないものと思って、最前線に立ってほしいです。

また、2000円を払ったサービス内では、その金額2000円以上のサービスはしてはいけないと思っている人も多いみたいですね。赤字にならないようにと気にしてくれている真面目な方です。でもそれは大きな勘違いだと思いますよ。例えばうちでは1泊2500円の低料金でも、温泉や空港まで無料で送迎しますし、食べたいものは極力用意しますし、明日明後日のコース、はたまた日本を出国するまでのルートを一緒に調べて印刷して手渡しすることもあります。これは1円にもなりませんが、このように相手が困っているとき、こうしたいという要望があるときは、めちゃめちゃチャンスなんです。そこでの対応ひとつで北秋田市全体のイメージが大きく変わってくると思うんです。これは相手をお客さんだと思ってやるのではなく【友人】だと思ってやると簡単にできるので超オススメです。皆さん真似してみてくださいね。

最後の最後に一例…ひとつの依頼を50円で受けている人の話です。50円で仕事をして、生活できるのかと思う人がほとんどだと思うのですが、この人はやっています。ホームレス小谷さんという方です。お金は50円でも、そこから恩が生まれて、自分もその周りにいる人も幸せになっていくというストーリーです。貯金もできて、結婚もできました。

例えば50円で、草刈りをの依頼を受けたとする。朝から大の大人が日給50円で草刈りをしていると、依頼者は『お昼ご飯食べていって』となる。 
 

さらに、午後も草刈りを頑張ると、『本当にありがとう。夕ご飯も食べていきなぁ』となる。さらに、二度も一緒にご飯を食べると仲良くなり、『これから飲みにいこうよ』ってなる。遅くなると、『泊まっていきなよ』ってなるときもある。
 

50円という低料金から、“恩”がどんどん生まれ、小谷さんは、お金持ちならぬ、『信用持ち』となる

totodayo.hatenablog.com

 

つまるところ、観光は人と人との交流、結びつき。損得勘定ぬきで、ひとりひとり真剣に向き合って行くことが大切だと思っています。観光ほど面白い仕事はないんです!皆さんもっと笑顔で楽しんでやっていきましょう~!森吉山の麓からは以上です。ぜひ本を買って読んでみてください。