ORIYAMAKE

瞑想登山家/秋田県北秋田市・森吉山麓モロビの里に生息しています

マタギ体験ツアーの経緯とこれから(2012年~2016年)

秋田県北秋田市でなければできない体験「マタギ体験ツアー」

このツアーを世界へ向けて売り出していくために、なぜこのマタギ体験ツアーが生まれたのか、一度立ち止まって整理をしておきたい。(関係者向け)

事の始まりの、根っこの部分を共有することは、より深く連携をする上でも重要なことだと考えている。先日のインバウンド観光の研修会でもトラベルデザインの須崎社長マタギ体験ツアーが世界で売れる3つの理由を話してくれた。森吉山北麓のマタギ体験ツアーは、これから世界を相手にしていかなければならない。今一度、足元を踏み固めておきたい。これからのために、今までの4年間のおさらい。

 

2011年に移住、2012年に初体験

私が秋田県北秋田市根森田集落へ移住してきたのが2011年7月。そこからハローワークで、国民宿舎森吉山荘の求人を見つけて就職。11月に離職。3か月間、独立開業の道を模索するも断念。2012年3月に社団法人東北建設協会へ就職。自宅から5分の森吉山ダムでの管理支援業務に従事することとなる。

 

その森吉山ダムで毎年行われている、紅葉まつりがマタギ体験ツアーの原点だった。根森田集落では、そのお祭りに「だまこ鍋」を出店しているということで、前日の準備に呼ばれたときのこと。野菜を切ったり、米をつぶしたりという準備を想像していたが、現場に行ってみると、そこには2羽のニワトリが。これが衝撃的だった。初めて毛をむしり、肉をさばいて、そして出来上がった鍋は最高に美味しかった。この体験は、他のお客さんにも喜んでもらえると思ったのが最初の記憶。でも、それをどう売れば良いかが分からなかった2012年。

 

2013年に初ツアーで惨敗

悶々と過ごしているうちに、秋田県では日曜朝に放映されているカンブリア宮殿で、神子原米で有名になったスーパー公務員の人が出ている回を見た。その人は、今は日本酒の飲める女子大生を呼んでツアーを行っていると言っていた。映像にもキャピキャピの女子大生が映っていた。これをいつかパクろうと思った。

そうこうするうちに、この根森田地区で年間10万円の予算で何か事業をやれないかという提案が県地域振興局のTさんからあった。そこで、根森田の農村体験ツアーを提案した。1日目にはニワトリをさばくところからの、きりたんぽ鍋つくり。そして、様々な日本酒を用意して利き酒大会。2日目は、奥森吉の観光スポット巡り。対象はもちろん、日本酒の飲める女子大生限定。

当時は、ターゲットは絞った方が良いという情報を鵜呑みにしていたので、日本酒が飲める女子大生という思い切った選択をしていた。根森田のお父さんたちのヤル気も誘い出したかったので、若い女性を集めたいという魂胆もあった。しかし、目論見はものの見事にはずれてしまった。

まず、学生さんはお金がない。このツアーは通常15000円ほどかかるものを補助金を活用して8800円にまで下げていた。それでも、学生さんには高いと言われてしまった。いくらなら来るかと聞くと「3000円」という答え。その当時は、色々が学生サークルがあり、人は集まるよと言われていたが、それは無料での話。大学生に頼ろうとした自分が愚かだったと後から気が付いた。結局あわてて、女子大生縛りをやめて一般募集に切り替えたが、人が集まらず初年度は4名。1家族プラス1名。どちらも知り合い。惨敗だった。しかも、県の担当者が新米で、最初はどれでも補助金は使えますよ、レシートだけ取っておいてくださいとのことだったが、終わってから、あれも使えません、これも使えませんが始まり、結局大赤字。心にも家計にもダブルパンチで撃沈した。

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(女子受けを狙ったチラシ)

2014年は人は集まったものの・・・

翌年は、前年の反省を生かして、県と市と共同の事業となった。しかし、根森田集落単独では良くないということで、地元の民宿組合である四季美湖を守る会というところも入れて、4者でのスタートとなった。予算は合計で20万円。

2014年は変なこだわりは捨てて、今一番この地域に来てくれている50~60歳代をターゲットに、まずは人が集まるものをベースに考えた。外せないものは、ニワトリをさばくところからのきりたんぽ鍋づくり。そこから、初年度は太平湖等の観光地へ行かせたものの、今回は予算の関係もあり、バスを借りられなかったため、地元の山を散策してもらうことにした。ツアーをやると、頭を悩ませるのがこのバス代である。予算が20万円あってもバス代で11万円が消える。

そこで初めて、タダの山歩きではなく「マタギと一緒に山歩き」とした。でも、マタギと大々的に宣伝はしなかった。マタギという言葉には阿仁地区の人が過敏に反応してくるので、あくまでも農村体験が主で、マタギとの山歩きはオマケという位置づけだった。

でも、ツアーを実施してみると10人ほど集まった人のほとんどが、マタギとの山歩きが一番面白かったという答えだった。キノコを採ったり、出てきたマムシをひょいとさばいて胸ポケットへしまい込む様が忘れられないということだった。このツアーは大成功だったものの、根森田集落の人たちから、別の団体とは一緒にやりたくないという意見が出たため、次年度からは私ひとりが根森田集落から参加することになってしまった。

 

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2015年は観光と教育方面から年2回開催

3年目は2回開催した。この年は観光課以外にも教育委員会からも打診があり、子どもたちを対象にしたマタギ体験ができないかという話があったからだ。住民の意向としては、観光と教育を合わせて1回にしたかったのだが、観光課と教育委員会の予算は一緒にはできないということだった。さらに、本当は秋に教育ツアー、冬に観光ツアーのつもりが学校方面の集客に苦労をして、どちらも1月開催になってしまった。毎週のように雪山を駆ける生活。ここでのつながりが今でも生きている。

教育を主としたマタギ体験ツアーで来てくれた関東の子どもたちは翌年のツアーにも参加してくれた。観光を主としたマタギ体験ツアーでは、本文の冒頭で紹介したトラベルデザインの須崎社長も台湾からの留学生と一緒に参加してくれて、その時の体験をもとに世界へ売り込みをかけてくれている。

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そして2016年、マタギ体験ツアーのこれから

今年は、日本人は集まって満足度も高いということが分かったので、外国人観光客を対象にしたプランづくりを第一に計画を練ることとなった。

そこで、秋田大学の留学生に協力を依頼して、モニターツアーを実施した。外国人を相手にするために、マタギ文化を説明する冊子を用意したり、DVDを上映しながら寸劇を交えた説明をするなど、様々な工夫をした。

結果、外国人にはニワトリをさばくところよりも、山歩きが最も効果的だった。地元の人にも別に英語が話せなくても外国人の相手はできるという自信につながった良い体験となった。

子どもたちを対象としたツアーでは、今回は夏休みに合わせて行い、カジカ獲りやアユ釣り体験、山歩きやキャンプ等、夏でもマタギ体験ができるということを証明することができた。

 

2013年の初ツアーから2016年まで計6回のマタギ体験ツアーを実施してみて、青森や山形とも違う、さらに同じ市内の阿仁地区とも違う、根森田集落だけのマタギ体験ツアーに段々と変化してきたことを感じる。

ニワトリのいのちをいただいた鍋の感動から始まったこの体験ツアー。

2017年からは、いかに利益を出していくか、もっともっと質を高めて若者の雇用に結びつくところまで持っていきたいと思う。補助金に頼らずに、運営できるように。マタギ文化を次世代へ伝えていくために。

 

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(上写真の鶏肉は参加者には提供されません。)

ひとまずのまとめとして。2016年12月。