ORIYAMAKE

秋田県北秋田市・森吉山麓モロビの里に生息しています

インバウンド勉強会の記録 ~オーセンティックな関係を~

自分が気になったポイントだけまとめてます

一昨日、久しぶりにセミナー(勉強会)に参加してきました。その時にメモしてきたことを共有したいなと思って下記にまとめています。外国人を対象とした観光に興味のある人へ少しでも参考になることがあれば幸いです。概要は以下の通り↓

6月7日に能代市で、日本版DMO関連勉強会が開催されます。
日本へのインバウンド(訪日外国人旅行)は引き続き増え続けており、能代山本地域へ立ち寄ってくれるインバウンドも増えてくると予想されます。平成29年の秋田県の外国人宿泊者数は、48%増(92,140泊)となり、好調を維持しています。
今回の勉強会では、各地域でインバウンドに関する講演やセミナーの講師を行っているポール・ハガートさんにお越しいただき、北海道ニセコ町のインバウンド成功事例や秘策の紹介、また、世界のツーリズムトレンドについて分かりやすく解説していただきます。さらに、あきた白神エリアの各所を実際に視察していただいた際の感想を盛り込んだお話もしていただきます。
当日は、ご参加いただいた皆様と一緒に能代山本地域のインバウンドに考える機会にしたいと思っておりますので、奮ってご参加ください。

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ほぼ満員の会場で、とても楽しい勉強会でした。

講師のポール・ハガートさんは2010年に外国人として初のニセコ町役場商工観光主査に就任。現在は講師やマーケティングコンサルタントとしてインバウンドセミナーの講演をされているそうです。

講演スタート

まずは、スライドを使いながらの説明。緑一色に和柄の背景のタイトルで「秋田はグリーン(緑色)のイメージ。海外のお客様に対しても心理的に影響する―」と、イメージカラーを設定して戦略的に展開する重要性を話されていました。

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次は写真を見ながらのトーク。2日前に来秋し、能代山本地域を色々とまわられたそうです。まずはババヘラアイスを持っているおばちゃんの写真。「はじめて会った人が、その土地のイメージになる。私の場合はババヘラが秋田のイメージ。」とのことで、高速道路を降りたところにあるババヘラが最高のおもてなしだったそうです。まずは何故こんなところにアイスを売っているんだろうという疑問から、おばちゃんの明るさ・優しさに惹かれ、そして海外の人にも通じる懐かしい味。(バブルガムみたいと言ってました)ただのアイスではなく、これは体験でありグルメだと大変気に入ってもらえたようでした。

初めての能代山本散策

続いては、駅にディスプレイされている丸太の輪切りと、バスケットゴールの写真。丸太の輪切りには各部位の使い方が書かれていて、こんなの見たことないと言ってました。バスケットゴールもキラーコンテンツだと。ただ「日本語しかなかったので英語がほしいが、そこで全てを英語で説明してしまうと日本ではなくなってしまう」とのことで、ディスプレイの端にQRコードを表示して、各自のスマホで情報を見てもらうスタイルが良いのではないかと話していました。これは是非いろんなところで真似していきたいですね。

それから、青池に向かうときにみた壁の写真。苔や、壁に刻まれた規則的な模様の写真でした。日本人は写真も撮らないようなものでしょうと、でも日本人が特別だと思わないようなものでも、海外の人から見ると苔は日本の代表的なものであり、禅的なものとして資源になると言っていました。湧き水も好きなので、白神山地の水を飲むことができて友達に自慢できると喜んでいました。青池も素晴らしい場所で、もっと自信をもって勧めていいとのこと。国内では有名でも、海外ではまだまだ知られていないので、どんどんアジアのマッケートに出していきましょうと。

山を歩いても、日本人には珍しくない植物がとても魅力的との話。〇〇ジャポニカと名前のついている日本の固有種が多くて、それらは海外の園芸センターで買うと高いのでそういう楽しみもあるとのこと。海外のお客様も植物をみて、自分の国にあるものと似たものを見つけて思い出したりすると、一気に強いつながりができるという話も納得ができました。

写真の最後は八峰町の手這坂。茅葺き屋根の古民家を見学されたようです。

手這坂について | 八峰町

こんな場所で自然な体験をしながら会議をしてアイディアを出すような、5~15人くらいのミニMICEができるのでは、と話していました。

www.tourism.jp

あとは、出身のニュージーランドには蛇が一匹もいないので見られてよかったというお話や、黒砂の浜辺を見て感激した話などがありました。

それらに共通しているものは、他の人が行ったことのない場所に行きたいということ。そして、それをSNSにアップして友達に自慢したいという昨今のトレンドについてでした。ここまでが前段の話。

2018年の観光トレンド

続いては、いま波が来ている最新の観光情報についてお話いただきました。ここからが本番。項目だけざざざっとまとめます。

1.Uncharted Destinations

大人気の場所ではなく、本物の場所が好まれる傾向にある。日本で有名な場所でも良い。例えば青池のようなところ。

2.Authentic Culinary Tourism

オーセンティックな料理体験。グルメが一番大事!それから今年のキーワードは「オーセンティック」今日はこれだけでも覚えて帰って行って!!

kotobank.jp

3.Achievement Travel

ただ観光するだけではなく、チャレンジする旅行。

4.Work and Travel

新しい言葉「Bleisure」ビジネスとレジャーを組み合わせた言葉。出張で日本を訪れてる人が、前後に休暇をつくって旅を楽しむ人が増えている。

5.ロビーでお客同士が交流する

部屋に閉じこもって仕事をする人が少なくなり、ロビーのようなざわざわしているところの方がオフィスのようにリラックスして仕事に集中できる。ニセコでも冬はロビーで仕事をしている人で溢れる。

6.New Technology

スマホで自分の滞在をカスタマイズする旅。首都圏ではホテルで無料のスマホを借りることができる。日本はハイテックの国として認識されているので、過度にならない程度に取り入れた方が良い。

7.Multigeneration Travel

一人旅→家族旅行に変化してきている。お婆ちゃんから、息子夫婦、孫を連れて海外旅行をするトレンドがある。お婆ちゃんが世界のことを孫にアナログで伝えたいという気持ち。

8.Conscious Travel

コミュニティーと一体になる旅行。地元の何でもない商店や朝市が喜ばれる。

「体験に求められている要素」

・本物であること

・地元の人と接点を持つ

・自信につながる

・自分設計

9.Special Interest Tourism

FIT(海外個人旅行)からSITへ。特別な目的を持っている観光客。そういうお客様は非常に扱いやすい。

www.tourism.jp

イタリアのキャンティの話題

過疎化した村を再生させた、アルベルゴ・ディフーゾ(Albergo Diffuso)。ホテルの機能をバラバラにし、集落のなかに分散させた宿泊形態。

tabi-labo.com

・アジアの教育ママに売り込むと、家族がまとめて学習のためにやってくる

ニセコの例

現在のニセコは1年前から予約がとれない。2年先まで予約が入っている蕎麦屋もある。そのためには、バラエティー豊かな宿泊施設が必要。キャンプ場から高級ホテルまで幅広く。そして、バーやレストランに人が多くいるような状態が必要。ニセコが人気になったのは、コミュニケーションの場・アフターの提供があったから。社交場としてのバーの重要性。

ニセコが大人気となったきっかけは、9.11同時多発テロ事件の時に数人の観光客が、当時のメジャーなスキーリゾート地だったアメリカからニセコに旅行先を変えたこと。昔からあったペンションに泊まっていた。その地下で若い人がバーをやっているところがあり、観光客同士の交流が進んだ。

『ネオジャパニズム』ここでしか味わえない付加価値

実践している宿の例↓

例えば、畳の部屋でも布団にこだわらずに、ベットマットを敷いて寝たり。

坐忘林|北海道ニセコの旅館

そもざについて - SOMOZA

 

ニセコの海外マーケティングは、10年前からつくっているフリーペーパーが主力。売っているのは、宿でもなくスキーでもなく「ホリデー」。

フリーペーパーについて、自分のところをPRするのではなく、外国人が知りたい地域の情報を提供すること。風景写真ではなく、人が楽しそうにしている写真を載せること。品質の良い印刷物をつくることが大事だが、オシャレにしすぎると逆効果。そして、観光庁のロゴを入れて信用をプラスする。(申請が必要)

www.mlit.go.jp

つくったフリーペーパーは、世界の旅行会社へ毎月1回送って、それから徐々に反応が返ってきたそうです。今はPDFでも良いのではないかとのことでした。

そのほか、各国のコミュニケーションに対する考え方の違いについて(ローコンテクスト⇔ハイコンテクスト)、各国のネガティブな情報の伝え方の違いについて話していました。ポジティブな情報はどの国も伝え方は一緒だが、ネガティブな情報はストレートに伝える国と、日本や中国のように遠回しに伝える国があるそうです。仏教が影響しているのではないかとのこと。ターゲットとする国に応じて、メッセージの伝え方を考えると、より効果的に伝わるそうです。

それから、地元のスーパーも重要なコンテンツのひとつという話。生活感をたっぷりと味わえる場所。山の近くでは魚が少なかったり。

質問コーナー

ポールさんは講演の中で駅が重要という話もしていましたが、そこで「私の住んでいるところには駅がありませんし、観光案内所も・・・」という質問が。ポールさんからは「駅に限らず重要なのは、町の玄関口。一番人通りが多いところがあるはず。そこが重要なポイント」との回答。ニセコでは外国人が沢山役場内に訪れているそうで、観光案内所が役場にあっても外国人には抵抗がないという認識を示されていました。

最後の質問は「価格帯の変化」について。ニセコが高級路線になったきっかけがあれば教えてくださいとのこと。ポールさんの回答は「5年前に明確に変わった。世界全体で価格は上がっているが、日本はデフレなので低いまま。世界ブランドのホテルが参入してくるとまた価格が上がると思う」と、自分たちの海外の競争相手はどこか先に調べて、その価格を意識すると良いとも話していました。価格を安くしすぎると逆に売れない、お客が来ないことが多いそうです。安すぎると継続ができなくなるよ、という話でお時間となりました。

講演を聞いての感想

ポールさんは、ホテル等の現場の状況も分かるし、行政の中にもいたので、役所の気持ちも分かるし、非常にニュートラルな立場でお話をされる方だと思いました。それから、やっぱりこういう講演会は同じテーマに興味を持った人が集まるので、講演後の名刺交換も非常に有意義なものとなりました。(持って行った名刺が全部なくなった…!)終わった後は、誘っていただいたAさんとOさんと食事に行く約束にしていたのですが、そこにMさんも加わり翌日仕事があるにも関わらず23時まで盛り上がりました。たまには勉強会に参加するのも良いものですね。

あと、ゲストハウスを運営しているので、大体のトレンドは肌感覚として分かるというのも発見でした。本物を求める、ガイドブックに載っていないところに行きたがる、家族で泊まりに来るというのは、うちも一緒。この地域が弱いところとすれば、観光客同士が交流できるバーなどのナイトスポットが皆無なところだというのも分かりました。これから地域に適した形で、発展していければ良いのですが…。

と、まだまだ書ききれていないところもありますが、大まかなところが伝わればと思います。お読みいただいた方、誠にありがとうございます。オーセンティックな観光はこれから益々求められると思いますので、どんどんインバウンド観光を盛り上げていきましょう!!

ゲストハウスを始めて2か月の売上

ゲストハウスを開業してから2か月。
現在の状況をメモとして残しておこうと思います。
起業してる人で、夢とか希望の話ばっかりする方も多いですが、やっぱりお金の話って大事だと思うのです。現状はまだまだな数字で、胸を張って公開できる数字ではないのですが最初はこんな感じということで。

www.airbnb.jp

 まずは宿の概要から。秋田県北秋田市根森田にあるゲストハウス。客室は2部屋、定員8名。共同キッチンあり。浴室無しシャワーのみ。素泊まり1泊2,500円の最低2泊から。ネット予約(Airbnb)のみ。冬場は最も観光客が少ない時期。

宿の売りは、築70年の古民家をリノベーションした施設で、囲炉裏をかこみながら郷土料理きりたんぽ鍋などを楽しめることと、現役猟師と一緒に山を歩いて野外でランチを食べるオプショナルツアーがあること。夕食は2000~3000円で提供。山歩き体験は12000~20000円の設定。

 

気になる2か月(12月25日~2月25日)の結果は、宿泊数45泊(19名)。ほとんどが外国人で日本以外では、上海、フランス、香港、イギリス、アメリカから来ていただきました。日本の主な観光地を巡った後のベテランが多いのかなと思っていたのですが、初めて日本に来たという方もいて驚きました。北海道へ行く途中で寄ってくださったそうです。日本語のみの説明ページにしていたのですが、日本語が話せないというゲストがほとんどでした。私も英語が話せないので、中学生英語+ジェスチャーで会話をして、本当に大事なところではGoogle翻訳を使って話していました。Googleは神。

さて、各項目の売り上げは以下の通りです。

宿泊費98,511円

夕食代43,200円

山歩き70,000円

タオル販売100円

合計は【211,811円】

これから経費が引かれるので、宿屋だけで生活していくためにはまだまだな状況です。でも今はこんな感じで丁度いいのかなと。これ以上お客さんが来ても、家族に負担がかかりそうな気がします。Airbnbだけというのも正解でした。まずは管理が楽だというのと、他の宿予約サイトと違い、ゲストが来訪する前にメッセージ欄で十分な情報のやりとりが出来るのでお互いに安心して会うことができますし、希望にあったメニューも考えやすいです。レビューが増える度に、ページの閲覧数が増えているので最初は地道に続けていくことが大事かと思います。

現状は安い宿泊費で釣って、他では体験できない高価なオプションで元を取っている状況。これから春、夏、秋を迎えると、どんな状況になるのか楽しみ半分、不安半分ですが新しいゲストと会って話すのは本当に楽しいのでやっていくしかありません。

 

また、不便なところに宿を構えるというのは、初心者にとって良いことかもしれません。別の記事でしっかりと考えて書きたいと思いますが、あらゆる困難がフィルターとなるため、変な人というかワガママな人というか、短気な人は来ないような気がしています。今のところ、本当に素晴らしいゲストの方々ばかりで救われています。感謝しかありません。山奥のストーブの前からは以上です。

新しいインバウンド観光の未来のために、英語ではなく「やさしいにほんご」を勉強しよう

外国人とのコミュニケーションは英語でなければならないのか

今日のお話は、まだ1ヶ月間だけですが、実際に宿屋をやってみて感じたことを書いてみたいと思います。端的に言うと英語をそんなに勉強しなくても、日本語で十分なのではないかという話なのですが、決して英語を勉強すること自体を否定しているわけではないのでその点はご了承ください。

まずはじめに私の英語レベルからお話ししますと、壊滅的に話すことができません。それには悲しい話がありまして、高校の時の英語の担任の先生のことを嫌いだと思い込んでしまい、英語の授業をほとんどをサボっていた時がありました。そのため、私の英語のレベルは中学生で止まっています。よく、ゲストハウスをやると言うと英語がペラペラに話せるんじゃないかと誤解されることがありますが、決してそんなことはありません。奥さんが語学留学をしていたことがあるので、いざとなれば任せればいいやという慢心もありますが、外国の方と接するたびにいつもヒヤヒヤしています。

 

相手は英語の対応を真に求めているのか

そんな私ですが、宿泊してくれるゲストと接しているうちに気づいたことがありました。それは外国のお客様はとてもよく日本を理解したがっているということです。考えてみれば当たり前のことですが、せっかく日本という東洋の島国に来たのですから、全て英語で表記されていて自分たちの母国語または第2言語がペラペラに通じてしまうというのは、なんとなく面白いものではないのかもしれません。

特に私のゲストハウスは、築70年の古民家を改装しているので何でもかんでも英語で表記しているというのは、雰囲気も壊れてしまうと思っています。時々、拙い英語でコミュニケーションをしている時でも「これは日本では何という意味ですか?」、「これは日本語で何というのですか?」ということをよく聞かれます。彼らは日本を知りたがっているのです。もちろんその時に難しい日本語、専門用語を話しても伝わらないので、小学生に話すような簡単な日本語で伝えると、とてもよく理解してくれています。

 

海外からの旅行者と話すことのできる「やさしいにほんご」の重要性

これはまだまだ検証が必要なことなので断言することはできませんが、これからの新しいインバウンド観光の未来のために英語ではなく「やさしいにほんご」を使う地域という売り出し方もあるのではないかと思います。英語でなければ駄目だ、という先入観を捨てて、もっと気軽に外国の旅行者と触れて欲しいとも思っています。いざとなればスマートフォンの翻訳アプリで会話をすることも出来ますし、私の中学生英語でも、単語の羅列だけでも、この北秋田の端っこまでたどり着くことのできる外国の方は、理解する能力を持っていらっしゃるので、安心してコミュニケーションをすることができています。これはとても幸せなことなのですが、それに甘えることなく自分自身ももっと英語を勉強したいと思っていますし、英語以外でも地域の文化や、日本そのものをもっと理解していただけるような努力もしていかなければならないと思っているところです。

以上森吉山の麓からとりとめのない話をお伝えしました。意外と小学生に話すような「やさしいにほんご」って難しいですよ。熟語とかは使えませんし、すごく脳トレにもなります。

なによりも、日本語をひとつでもふたつでも覚えて帰ってもらうのって嬉しいですよね。